ライフ・イズ・カルアミルク

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きのうは文学フリマ

文フリいってきました。感想です。

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稀風社ブースの様子

 

稀風社の『海岸幼稚園』ですが、草稿でもう読んでたんだけども、冊子になったやつ読むとあらためていいな~と思った。ねむるさんのブックカバーはすごいセンスだし、えすにさんの漫画は良すぎですね。こういう薄い感じの女の子イラストが大好きなんだ俺は。

自分の原稿はこう、縦書きで見るとちょっと空気が多いなと思った。横書きだと改行を多めに入れるんだけど、縦書きはもう少し続けてもいいのかもと思う。今度から縦書きで書こう…。

とはいえ内容はよく書けてるかなと思います。宮内さんに褒めていただいたのは本当に励みになった。各位も褒めてくれていいんだぞ。

 

以下、各サークル新刊の感想(感想書くのはクソ苦手なのでご容赦ください)

 

手紙魔まみトリビュート。限定版がめちゃくちゃオシャレで買いたかったのだけど、売り切れてしまった…。

オナホ男のデザインを担当してくれた倉又さんがデザインをやっていて、愛だなと思った。倉又さんが今まで見たなかで一番元気そうなのがよかったです。職場の環境が良いのかもしれない。

収録内容もよくて、あっ、かみはる氏のふわふわした短歌よかったですね。あの人はリアルまみみたいなものなんだろうか。

 

善浪さんのアヴァロンの王杯。

焼肉がうまそうな文章(本当に)。こういう文章が書ける人は焼肉に失敗しないと思う。この世には「焼肉のうまい文章」が存在します。

 

カラフネの『しあわせはっぴーにゃんこ』。

ツイッターでも書いたけど、ぽたちゃんの自撮り小説『セルフィ』がすごくいい。江戸川乱歩山田風太郎を読んでるって聞いていたので、読んでなるほどと思った。端正な文章からさも自然に非現実を作り上げていく感じ。いま若い人でこういう文章が自然に出てくるなんてなかなか稀有だと思う。

それとはるしにゃんの生存報告を聞いて安心。はるしにゃんは詩の人だと思ってたのだけど、今回の小説はその文体を持ち込んだ感じで、海外現代文学にちかい印象。元気になってくれ~。

ひえきさんの真っ白な岩壁みたいな文章(これで伝わるのか…)、夜空さんの短歌とは違ったかっちりした文章、きのせいさんは器用ですね、王道のエンタメ感というか余裕を感じさせる文体、それからからてさんの綺麗な〆など、執筆陣がしっかりしてるなと思った。

 

文体の話ばっかりしてるのは、俺が文体フェチだからですね。なんだかんだ文フリは、いろんな文体に出会えるところが楽しい。

 

文体といえば帰らせてくれの新刊『試験が近くて花を食う』。すごくよかった。前刊に比べて二人ともいい。

ちんちん花火くんは前回と同じく、あれだけ暴れながらいっさい嘘を書いてないっていう奇跡的な文体で、かつ今回は物語の方向にはっきり踏み出していたと思う。それは絶対正しい。

直泰くんの小説もすごいよくて、特に二作目『正しい生き方宣言』はいま小説でやれること全部詰め込んで正解を出しに行ったんじゃないか、と思う。構成もしっかりしてる。

 

二人ともすごい真面目で、嘘を書いてないのが一番いいと思う。いやフィクションなんだけど、根本のところでごまかしてない。ズルさがない。そういう「人生の態度」みたいなものが文章書くうえで一番大切だと思うので、これから本当に伸びると思う。

「嘘が書けない」という前提があるからこそ、たぶん二人とも文章を書いてるうちに「これは嘘だ」って思った端からひっくり返していくから文体・構成は暴れてるようにみえるんだけど、それは本当のこと書こうとしてる証拠だと思うんですよ。俺の経験で言ってるだけなんだけど。

文章を波形でたとえると(1)「/\/\/\/\/……」こんな感じが(一本筋を通すために暴れているイメージ)だとすると(2)「~~~~~~~……」とか(3)「―――――――……」みたいな文体も使えるようになると、書き方に幅が出て書けることも増えるし、長い文章書いても息切れしにくくなる。

ちん花くんは(1)をずっと使ってて(しかしこれだけジェットコースターみたいに振れ幅が凄くて軸がぶれないのは本当にすごいと思う)直泰くんは今回(1)と(3)をうまく使い分けながら構成してる印象だった。ネットで公開してた小説もそうだけど、(3)の文体がちゃんと使えるのは直泰くんのすごいとこだと思う。結構しんどいと思うんだけど。

 

さっき言及したぽたちゃんは(2)に近い文体で書いてるイメージで、こういうのは難しいんだよなと思ったりする。

しかしまあ自分のなかにいろんな文体を持っておくのは生きていくうえで本当に大事なので(文体は思考の枠組みそのものだと思っているので)とにかくいい本とか読んで頑張ってくれ~。今回の作品自体もよかったけど、何よりちゃんと正しい方向に向かってるのがよかった。

 

偉そうに書いてしまったけれど、俺ももうじき26歳といい歳になるわけで、年上がウソでも偉そうにしてなかったら、下の人間は困ってしまうじゃないか。「大人になる」とはそういうことじゃないか、ということを俺は、橋本治や宮﨑駿、それから肉を食べさせてくれた偉大な社長から学んだ気がします。

職場にもいよいよ後輩が入ってきたわけで、とにかく人生のあらゆる場所で、偉そうに振る舞うべき場面で偉そうに振る舞って、文句を言われない程度にはそれなりの実質を備えなければ、頑張らなきゃいけない、という感じですね。これも自分にウソをつかずウソをつくということで、やっぱり人生とは文学だったのだ。

世界とは巨大な文学フリマである。文学フリマ事務局は最高。