ライフ・イズ・カルアミルク

本当のライフハックを教えてやる

空白を埋めよ

5:30 起床。

2時間電車に揺られ、作業着に着替え、作業をした。退屈といえば退屈だが、耐えられないほど不快でもなく、1時間、2時間と時間は過ぎた。何をしても、しなくても、時間は過ぎる、ということを何度も思う。

 

小さいころ、目をつぶっていれば時間はすぎていくんだ、と思っていたことを覚えている。車に乗せられたときはいつも、眠ったり、眠ったふりをしていた。外の景色も見ていたと思うが、ほとんど覚えがない。地元の道は、だから今でもわからない。

 

昼食を終え、同期の運転する車に乗る。

彼は疲れた、疲れたと会話の間をうめるようにつぶやいた。会社に嫌気が差した、地元に戻ってたこやきを焼きたい、と言って、俺は笑った。

彼の運転はよそ見が多く危なっかしかったが、俺よりはマシだと思った。道はいつも同じに見える。

 

18:00。仕事が終わり、帰る電車が出た。俺は目をつぶり、目が覚めると乗り換えの駅に着いていて、バッグを抱え電車を降りた。19:30。

乗り換えのホームへ行く階段の途中、自分がなぜ乗り換えをしているのかわかっていないことに気づいた。「これから部屋にもどるのだ」というフレーズが頭に浮かぶまで数拍の間があって、俺はきっと、なにも考えてないんだろう。ホームですこし笑ったのは、あの数拍の間を埋めるためだったのかもしれない。

 

そう、きっとその数拍の間が、空白があまりに空白だから、笑ったり、目を閉じたり、疲れた、疲れたとつぶやいたり、そういうことをして、俺や彼は、ぽっかり開いた空白をどうにかやりすごしている。

 

一日が終わる。

目を閉じれば、一日が終わる。

「一日」を終わらせるために、目を閉じる。

「一日が終わる」という物語は、空白を怖れる裏返しなのかもしれない。